のりさんのブログ

日本語不自由

序章 ノリで生きるとはこういうことだ

2017年末、とあるつぶやきがバズった。

内容は街コンに参加した女性が彼氏を掴みとるまでのサクセスストーリーなのだが、それ以上でもそれ以下でもなく、なんでバズったのかよくわからないがバズったのだ。

それをうっかり目にしてしまった自分は、思い出してしまった。

あの胸が高鳴るときめきを。

あの歯を食い縛った屈辱を。

あの涙を拭ったその別れを。

――――――そうだ、街コンに行こう。


数年前の雪辱を晴らすべく向かったのは秋葉原だ。
男性参加費9800円は正気の沙汰ではないが、後に色々ペイできると考えるのが一般的なのだろうか。
そんなことを考えながら、氷のように冷たいエレベーターのスイッチに指をかける。
駅からはそう遠くない場所のはずなのに、年末の寒風は遠慮なく体温を奪っていっていた。
マフラーを寄せた目の前でドアが開き、狭い筐体に身を滑り込ませると、自分と同じ戦地に向かうであろう男どももちらほらと乗り込んでくる。
ドアが閉まった後は、ただただ静寂が訪れる。

嵐の前の静けさとはよく言ったもので、これから巻き起こるどったんばったん大騒ぎをうぇるかむとぅーざじゃぱりぱーくしていたのは言うまでもない。
バカみたいなことを考えている間に、箱の中の重苦しい空気が解き放たれ、戦場への道が開かれる。
行きを整え、外へと踏み出した俺が見た景色は――――

「は~い! 女性の方から順番にご案内しますね~♪」

と、媚っ媚な声で制服コスプレに身を包んだ吉田沙保里の姿だった。

今回も荒れるんだな、と予感させるにしてもインパクトが強すぎやしませんか、神様。

僕がオタク街コンに行った話 その3

前回までのあらすじ

イシツブテがかわいい子の正面で浮かれてて死んでほしいと思った

おわり

 

中華屋を出てからは悲惨そのものだった。

最初に移動した喫茶店(プロント)はスイーツ大好きな雌豚共で溢れかえる養豚場の様相を醸し出しそこに雄猿も加わって入場すらできない有り様。

妥協して入った韓国料理屋は案の定全く人気がなく10分ほど待っていたが相手の穴が来なくて普通に街コンとして疑問を抱くレベルだった。運営死ね。

そもそもヤニで黄ばんだカーテンのような衣服に身を包んだイシツブテと行動を共にしている時点で最初から負け戦だったのかもしれないと嘆きつつ、店の候補もないので仕方なく目に入ったパスタ屋に入ることにした。

愛想のないスタッフに席に案内される途中に見えた体育会系のイケメンが首から下げている自己紹介カードに「好きなアニメはグレンラガンです」って書いてあってストレスから悶絶死しそうだったのもあり、悟りが開けそうだった。イケメンはウェイウェイ言って足軽じゃない尻軽女追いかけてればいいんだよ足の小指から溶けて死ね。

いざ実際案内されてみても俺らの席へ来たのは30越えてる素敵なレディー(笑)だったのだが若作りするよりもっとやることあるんじゃないですかねあはは。

ちなみに一人はデレマスをやってたので話し相手にはなったがここから発展させようなんて気持ちには微塵もならなかった。

正直この時には飽きてた。だってビビッと来た子いないんだもん。やだ! 小生やだ!

そして特に収穫はなく街コンは終わった。

適当に拍手をしてからイシツブテに別れを告げ、二時間弱耐え続けたニコチンの欲求を満たすためにいち早く喫煙所へ向かう。

念のため、とかダメ押し、というわけではないが、タバコを吸いながらLINEIDを聞きだしておいた女達にこれから暇かどうか連絡だけしておいた。

酔いと適度な寒さの中で吸うタバコは指先一本まで染み渡り、揺蕩う紫煙はオレが抱いた幻想のように夜空に紛れて消えていった。

「帰るか」

誰に言うでもなく、オレは来た時の記憶を辿り駅へ向かった。

なにが悪かったかなーイシツブテかなーヤニ焼けしたカーテン着たイシツブテかなーとか今回の反省をしつつ駅のホームに到着したオレが見たのは、二組目のかわいい女の子たちだった。

これは運命だと、確信した。

速攻で声をかけ、これから暇かどうかを聞いたが、どうやら帰らなければならないとのこと。

なかなかのらりくらりとこちらと意図を躱され、「ちょっとぐらい時間あるでしょ?」

と禁断のワードを使いそうになるもぐっとこらえる。

帰り道も逆なのでどうしたものか。電車もあと一分で来てしまう。

焦るばかりで、アルコールに浸された脳みそは決定的な答えを導き出してくれない。

とりあえず今後も連絡するね、と言ってお茶を濁そうと思いついた。連絡先交換を済ませておいて今更何を、と思うが当時のオレは焦っていたのだ。

適度に間が空いた会話の中、オレが口を開いた時だった。

「ねぇねぇこの帽子かわいくない?」

と、篭った声が右から聞こえた。

何事かと急いで右を向くと、何やら会場でちらりと見かけた記憶のあるオッサンがオレが必死に口説いているにも関わらず、自らの貧相な頭部を覆い隠す帽子を誇示するためだけに女の子に話しかけたのだ。

 

唖然とした。そして思い出した。

これは『オタク』街コンなのだと。

 

オッサンはどうやら自分のキャップに着けたピンバッジを自慢したいようで、オレたちの会話の中に割り込んできたようだった。

女の子がそれに応じている間に、電車は到着し、女の子たちはオレに手を振ってそのまま電車に乗り込んでいく。オレは手を振るだけで、それを止めることはできなかった。

もしかしたら、自分もあの子たちにはピンバッジおじさんと同じに見られているのではないかと、恐ろしくなったからだ。

項垂れながら乗り込んだ帰りの電車の中で、いろいろバラ撒いたLINEを確認してみるも返事はどれもなかった。

 

結論:イケメンと組んだほうが楽

 

おわり

僕が虫を食った話

きっかけは知り合いの漫画家と酒を飲んでいた時だった。

「最近漫画のネタないんだよね」

「そうなんっすか」

オッサンの日常に何を期待しているんだって怒っていたが正直面白この人の書くエッセイ漫画は面白いので毎月楽しみにしていたのだ。

しかも時々こうして一緒に酒を飲んでもらい面白い話も聞かせてもらっている。どこかでお返しができればいいなぁと思っていた矢先の出来事だった。

俺には一つ、漫画のネタになるであろう虎の子を持っていることを思い出し、いつもの調子で切り出す。

「実は面白いネタが一つあるんですけど……」

 

というわけでそこから一ヶ月ほど時間は飛んで1月の神奈川某所。

とある店に我々は足を踏み入れていた。別にステマとかじゃないので店名も店の写真もあげないが、とにかく珍味が食える店だ。

ウーパールーパーとかグソクムシとか食えるとネットで見たのが最初だったはず。

漫画のネタ提供とは言っているが、実際のところゲテモノ料理ってどんな味がするのだろうとちょっと気になっていたのでいい機会だと提案したのだが意外とあっさりOKが出たのでちょっとだけ拍子抜けしたのを覚えている。

いざ実際に店内へ足を踏み入れると、店内には多くの地酒が置いてあり、雰囲気もちょっと小洒落た居酒屋と言った感じでとても好印象だった。だけどドアを開けた瞬間に嗅いだことのない肉の臭いがした。熊を筆頭に色々な肉を置いているのできっと獣の臭いなのだろうが最後まで謎だった。

とりあえずビールを注文し、ネタ作りということもあって字面のインパクト勝負に出ることにした。グソクムシ、ウーパールーパー、タガメコガネムシ、蛾の幼虫等々、ほんとに字面すげぇな。

全体的に言えることだったが、虫は味がしない。

例えるなら素揚げされたエビの殻を5匹分口の中に突っ込まれたような、香ばしいけど全く食いでもなければ味もしない物体だった。その中で唯一コガネムシだけは二度と食いたくないレベルの味付けで本当に辛かった。

ウーパールーパーはメザシみたいで美味しかったけどそれだけ。

そしていい加減食傷気味になってきた頃にメインディッシュが登場した。アナグマ鍋である。

アナグマとは簡単に言うとイタチの仲間で、イタチの肉はアンモニア臭がとんでもないらしい。果たしてどういう調理法で出てくるのか個人的に一番楽しみにしていたのだが、俺は目の前に置かれた鍋の中身を見て愕然とすることになる。

「ブルーチーズ鍋でございます」

店員が蓋を開けた瞬間、店内に広がるゲロそのものの悪臭。スープに溶かされて完全に馴染んでおらず分離しているチーズ分は余計にゲロを想起させる見た目で食欲なんて全く起きたもんじゃない。

恐る恐るアナグマの肉を口に含むと、ゲロの奔流の中に確かな噛みごたえの獣臭い肉があり、ゼラチン質な噛みごたえは確かに食べたことのない珍味と言える味であった。ただ口当たりと後味が壊滅的にゲロ。っていうかブルーチーズ鍋じゃなくてゲロ鍋だった。

眉間に皺を寄せつつも、野菜をしゃぶしゃぶし勢いに任せてなんとか飲み込んでいく。だが、タガメですら躊躇なく口にしていた漫画家さんは完全に沈黙していた。

「ごめん坂本君……俺ブルーチーズダメだわ」

「!?」

そこからはまだ半分以上残っていたのに全部一人で喰う羽目になった。最後に飲んだウーロンハイは人生において今まで飲んだ中で一番美味しかった。

その後は体力を消耗+ふたりとも謎の腹痛に襲われたので入店してから一時間で退散することとなってしまった。本当ならばバッファローステーキとかも食いたかったのだがとにかく気持ち悪かった。ちなみに一人12000円だったので真顔になったのは言うまでもない。

 

よい子の皆はネタづくりとしては行ってもいいかもしれないけれど、お金と体調に余裕がある時にしようね!

僕がオタク街コンに行った話 その2

前回のあらすじ

彼女が欲しくてオタク街コンに行ったらバラモスがいた。

あらすじおわり

 

蕎麦屋を脱出したオレたちは中華料理屋へと足を踏み入れた。

首からネームプレートを下げているので参加者は一目瞭然なのだが、移動開始からそんなに時間が経っていないので席に付いている人はまばらだった。

適当な席に通され置いてある麻婆豆腐や炒飯をおいしくいただいているとイシツブテが「まだ食うのwwww」って言葉のいわおとしで襲いかかってきたのでトレーナーさんを探したけどその辺にはいないようだった。どうやら野生のイシツブテらしい。

「よろしくおねがいしまーす」

箸での炒飯に苦戦しているとどうやら相手が見繕われたようだった。

正直期待してないし、バラモスの次だからゾーマミルドラースか。ちなみにエスタークとムドーはタッグを組んでキャバクラで遭遇したこともあるので対処法は既に習得済みだ。あの時は確かミュータントタートルズの紫も途中参戦してきたなピザでも食ってろ。

大きな紙袋を下げた彼女たちはどうやらイベントの帰りだったようだ。見慣れない絵柄の紙袋をテーブル脇に置き、テーブルに座った顔は少し疲れて見えた。

まずオレの正面。編みこんだ髪が印象的な少し顔立ちがAKINOに似てる女の子だった。

 

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↑ダンスがパキパキおばさんことAKINOさん。曲かっこいいからめっちゃ好き。

 

街コンが2人推奨なのは、少ない獲物を取り合う獣たちに均等に餌を分け与えるためだという。つまり、椅子についた場面においてオス同士で獲物を争うことはご法度とされていた。古事記にもそう書いてある。

まあつまり何が言いたいのかと言うと、イシツブテの正面に来た子がタイプだった。

真っ黒な髪はショートボブにきれいにまとめられ、艶やかに照明の光を受け輝いている。赤縁のセルフレームタイプの眼鏡は彼女の白い肌と大人しめな印象に知性とほんの少しの淫靡さをプラスして、日が落ち少しだけ薄暗い店内では髪をかきあげるような些細な動作でもドキッとしてしまうような魅力があった。

語り口も丁寧で、外見から受けた印象と相違はなかったのだが笑った顔が幼さも孕んでいる無邪気な笑顔で、ちらりと覗く八重歯から相反した幼さも感じ、まあなんだ、その、とにかくかわいかったのだ。

だが、

 

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お前ほんとだいばくはつしていなくなれよ。

最初は4人で話していたものの、しばらくすると向かいの相手とのみ会話するようになってしまった。いやまあ正面の子もかわいかったんだけどね。

ただ眼鏡ちゃんが路傍の石ハガレン初代アニメの話しててめっちゃ加わりたかったとかD.Gray-manの話してて休載前までリアルタイムでジャンプで読んでたとかそういう話したかったとかそんなこと全然なかったし強がりじゃねーしほんとだし目の前の子もかわいいし選んでる余裕ないしイシツブテ砕けろ。

心のなかで散々ポケモンを罵倒して多少スッキリ。まあ次に繋げればいいし多少はね?

ちなみにこの間もAKINOちゃんとはちゃんとお話してました。以下ダイジェスト

ぼく「うたプリとかLOVESTAGEとか好き」

AKINO「えっホモなの?」

ぼく「ホモじゃないけどLOVESTAGE面白かったよ」

AKINO「あれ面白いよね。うたプリ見てないけどどんなアニメ?」

ぼく「頭おかしいイケメンが光り輝いて腕骨折するアニメ」

 

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↑CDデッキにCD入れるだけなのにこんな勢いつけていれるから腕を痛めるの図

 

「女の子にその話絶対したほうがいいよ! めっちゃウケいいと思う!」

それが彼女たちの最後の言葉であった。オチ? んなもんないよ?

でもLINEは交換しました(小声)

 

つづく

僕がオタク街コンに行った話 その1

そろそろ参加者の記憶から風化してきてる頃だと思うので語ってみようかと思う。

 

2015年某日、曇天の空の下オレは国際展示場前に居た。

会社をサボり始めたオレは暇を持て余していたので以前友人と一緒に行ったことがある街コンに行ってみようと思ったのだ。

ちなみにその街コンでは壺を売りつけられそうになったのは記憶に新しい。

閑話休題

今回の街コンは一人で参加することにした。理由は暇だったからだ文句あるか。

最近のオタクはかわいい子やイケメンが多いので服装ぐらいはちゃんとしておこうと、この日の為に一応見れるぐらいに髪は整えて新しい服も見繕ってみた(一万ぐらいのジャケット買った)。

気合を入れ街コンの集合時間20分ほど前になって駅に到着したオレはビックサイトで行われていたイベントの帰りのオタクたちの並を掻き分け、目的のビルへと向かう。

なんでも今回の街コンはイベントとタイアップしているらしいので、ライトオタクからガチオタまで網羅しているとのこと。

ライト層ならけっこうかわいい子とかもいるんじゃないのかなぁと淡い期待を抱いて同じ場所に向かうであろうパンクスを着込んだデデンネ似の男性の後ろに着いていく。

 

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↑がデデンネ

馬子にも衣装とはこのことだなって。

 

街コンの開催場所は妙に尖ったビルで、ご丁寧に入り口には受付もありそこでコスプレをしたお姉さんから軽い説明を受けたオレは最初の店に入った。

最初の店は何故か蕎麦屋だった。

緊張でガッチガチに固まったスタッフのお兄さんに案内され、通されたのは座敷席だ。

靴を脱いで暖簾の先に待つのは鬼か蛇か。意を決して暖簾を開けると、そこは言葉通りの魔境だった。概念で言うなら混沌。

一応挨拶しながら暖簾を開けたのだが、スペースには2つの掘りごたつ席があった。向かって左が一人分開いていたのでそこに腰掛ける。

右のテーブルに座っていたのは東南アジアと一反木綿だったのですぐに興味は失せた。別テーブルに話しかけるのはご法度だしね。

「今日はよろしくお願いしまーす」

極めて明るい声色で、再度テーブルについているオレ以外の三人に挨拶をする。

目の前に座っていたのはバラモスだった。そうそうDQ3のあいつ。アレ。

バラモスは弄っていたスマホを置き、ほんの一瞬値踏みするような視線でオレの事を舐めまわしてから「よろしくお願いします」と挨拶を返した。左前はキャラが薄かったので本気で何も覚えていない。

 

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↑がバラモス。画像検索してたらマジで似てて笑った。

 

さて、街コンというのは基本的に男女とも二人一組だというのはご存知だろうか。

ソロ参加はあまり推奨されておらず、最悪の場合2:2の比率を崩して卓を泥沼に引きずり込む悪魔の役割を押し付けられることもあるという。

今回の街コンでは男女ともに満員だった為、そのような悲劇は回避できたのだが、オレの中にあったもう一つの懸念は事実となりオレに襲いかかった。

オレとペアを組むソロ参加の男、そいつの顔が完全に岩タイプだったのだ。

しかもチェックシャツにウォッシュジーンズだった。クリーム色のチェックシャツはどこで買ったのだろうと現実逃避しそうになったが、これから数時間嫌でもペアを組まさざるを得ない相手だ。

もし粗相してこちらの行動を制限されてはたまったものではないと極めて和やかに話しかけることにした。

 

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↑がもっと色あせてくたびれたシャツだった。

 

幸い街コン名物自己紹介シート(詳細はググって)がテーブルに置いてあったのでそれの記入要項の一つ、『好きなアニメソングベスト3☆』について隣のイシツブテに話題を振った。

「これって何書きました? けっこう悩みますよね」

「あっwwwww僕が書いてるやつマイナーだから見てもわかんないよwwww」

なんか知らんがナメられてた。

ちなみにイシツブテがBest1に上げていたのは当時放送中だった東京喰霊√AのEDであるamazarashiの『季節は次々死んでいく』でどメジャーだった。それはもう浅かった。

一発ぶん殴ってやろうかとも思ったが一応参考にさせてもらった手前、あの曲かっこいいですよねーとか適当な事を言いつつアイドルマスターシンデレラガールズのOPタイトルを書き込み、『好きなアニメランキングベスト3♪』にアイドルマスターシンデレラガールズと速攻で記入した。

それを見たイシツブテ

「顔に似合わないねwwwwwwww」

と追い打ちをかけるように煽ってきたのでこいつの存在は抹消することにした。

その後もイシツブテと中身のない会話をしていると、先程のガッチガチのスタッフさんが登場手には街コンのルールが書かれたホワイトボードを持っていた。

そして噛みまくりの超小声な説明が始まる。ペアで動けとか悪質な参加者はつまみ出すよとか、まあ普通の内容。

最後にスタッフの不慣れな乾杯でオレの街コンが幕を開けた。

ビールをおいしく頂いているほんの数瞬で作戦を固めることにした。イシツブテはタンク役でヘイトを集めてもらうのは確定として、結局このテーブルでは位置関係上正面のバラモスを相手取らざるを得ないのは明白である。

バラモスには微塵も興味がなかったのだが凍てつく波動を使われては叶わないので極めて紳士的な対応を心がけることとしよう。最初の30分は席を動けないのでそれまでの辛抱だと己に言い聞かせる。

とりあえず腹が減っていたのでセルフ形式の食事を取りにイシツブテを引き連れ一度席から離れる。その時にイシツブテに「どうっすか?」と聞いたら「いやアレは、うん」みたいなことをほざいてた。鏡見ろ。

料理を見繕って席に戻り、お互いの距離を近づけるために基本のどこ住み? から先手を仕掛け、脳みそを1ミリも使わない会話で場を盛り上げる。

我ながら上っ面だけの会話は非常に得意なので思いついた話題をバンバン提供し、相手からの話題も拾って発展させる。幸い口数が多い相手ではなかったので終始ペースを握ることには成功した。

だが問題は起こるべくして起きたのだった。

「どんなアニメとか見てるの?」

「あー、えっとねぇ」

「……?」

何気ない質問だったのだが、バラモスはまるで呪文を詠唱するかのようにバッサバサの髪をくるくる指に巻きつけて困り顔だった。はっ倒すぞ。

バラモスはしばし悩んだ後、口を開いた。

「私あんまりアニメとか見ないんだよね」

心が折れそうだった。

なーにが「私あんまりアニメとか見ないんだよね」だよDQ3の世界にでも引きこもってろゾーマの前座が!

あまりの理不尽な仕打ちに的確な罵倒が口から出そうになるのを必死にこらえた。落ち着けオレ。あんまり見ないと言っているではないか。きっと何かしら見ているに違いない。ああでももしかしたら本当に見てないのかもしれない。

気が付くとあと5分で退出できるじゃないか。話を合わせて速攻逃げよう。

「そ、そうなんだ。じゃあ休日とかなにしてるの?」

「んー、ゲームとかやってる。ゲーオタなんだよね」

はい来た。

ゲーム(笑)でしょどうせはいはい知ってる知ってる。パズドラとかモンストでしょどうせ? もうお前の言葉自体がいてつく波動だよホントに、マホトーン使わせろ!

「へーそうなんだ。じゃあ今何やってるの?」

パズドラはやってないがモンストは一時期やっていたのである程度話は合わせられるだろう。リセマラすらやっていないカス垢だったがそれなりに情報も仕入れてたし遅れはとらないさ。

最早オレは何も彼女に期待していなかった。彼女じゃないバラモス。

バラモスはゲームについて突っ込んだ質問をもらったのが嬉しかったのか、先程までの声色よりも少しだけトーンが高くなった声で、バラモスはこう答えた。

ガンダムブレイカー2」

「あれめっちゃ面白いよね!」

バラモスはただで転ばなかった。

結局席を離れるまでオレはバラモスと延々ガンダムブレイカー2の話題で盛り上がったのだった。ちなみにバラモスはけっこうなガチ勢で今までの25分よりも最後の5分のほうが盛り上がったのは言うまでもない。

スタッフが移動可能だと告げる声が後ろから聞こえてきた。話が合ったところで全く未練は残っていなかったので速攻で席を立ち、別の獲物を求めに彷徨うことにした。これはイシツブテと料理を取りに行った時に打ち合わせ済みだ。

「じゃあオレたち移動するから」

「あ、そう? 私たちも移動しようかな」

嫌な予感がしたので店を出たところで「じゃあオレたちは中華料理屋行くから」と明確な拒絶の意思を示してご退散いただいた。マホトーンってこうやって使うのかな。

ちなみにバラモスともう一人とはLINEの交換はしませんでした。当然だよなぁ?

 

つづく

京都旅行レポ~簡易編~

前の日記からさすがに一ヶ月開くのさすがにまずいと思って筆を取りました。

 

それもこれも一個一個起きていた事を書いていたらたぶん丸一日使っても厳しいレベルで色々なことが起きたのでそのへんは分割して書いていこうかなと。

 

ちなみに二泊三日弾丸旅行での行動ルートは

一日目

京都→嵐山→金閣寺→京都駅→祇園

二日目

祇園清水寺三十三間堂伏見稲荷→京都駅→高台寺祇園→ホテル

三日目

ホテル→京都駅→帰宅

 

こうやって見てみると移動時間が長いとか休憩を随所随所で挟んでいた+本当に何も調べずに京都に降り立ったから時間を無駄にしていた感じがだいぶ否めない。

 

ここから一日目の写真(あんまり撮ってない)

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京都駅を出て一番最初に目に入る光景。わかりづらいけどバス停一つに30~60人ぐらい並んでる。京都はバス網が発達しているのでよくある光景らしいけど心が折れたので電車で嵐山に向かうことに。

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嵐山駅から少々歩いたところにある渡月橋。このへんを散歩してる家族連れがいてその中の中学生ぐらいの女の子が「今日暑いなぁ~」って京都弁で言ってて勃起した。

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渡月橋の上から。どうやら観光客+地元の人が1番多い時期に行ってしまったようでめちゃくちゃ混んでて車道に数回弾き飛ばされ車に轢かれそうになる。

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嵐山をしばらく登った先にあった竹林(本当に何にも知らずに適当に歩いてたら見つけた)

このへんで蛍光オレンジの袈裟みたいなの着たインドの坊さんが居て普通にビビッた。ここから更に山を登るとめちゃくちゃいい景色の場所があったんだけど何故か写真が消えてた。

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嵐山を踏破した後は嵐電に揺られて金閣寺へ。

ちなみに移動はけっこうはしょっててバスなら一瞬の場所を延々歩いたりしてたからこの時点で右足裏がズルズルで撮った写真もだいぶ雑になってる。

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一度京都駅を経由して祇園へ。いい加減バスを使ったほうがいいと学習した(遅い)

このあたりは舞妓さんもいたり建物も風情がありだいぶテンションが上がる。二枚目の写真は右手側建物を挟んで鴨川が流れていてロケーションも最高だった。

しかしこの時点で時刻は18:00、『本当に何も考えずに』旅行に来たため未だに宿泊先は決まっていない。

でもくっそ暑い(23℃で超快晴)中を丸一日歩きずくめだったからとにかくビールが欲しくて京野菜と豆腐の店に雪崩れ込む。女性客しかいなくて超気まずかった。

このままじゃいかんと早々に退散し京都地鶏の文字を見てそのまま二軒目へ。

 

ぐるなび - 先斗町 鶏ん(木屋町先斗町/居酒屋)

http://r.gnavi.co.jp/kaks800/?sc_lid=RS_todetail_shopname #gnavi

 

何故か店内写真撮影禁止だったため写真は無し。

店員のお兄さんがフレンドリーに話しかけてきてくれてひとり酒でも美味しい地鶏料理とハイボールでめちゃくちゃ楽しい時間が過ごせた。お兄さんありがとう。

突き出しの鶏皮胸ポン酢にはじまり、冷奴、つくねステーキ、どれも美味しかったしボリュームもあってかなりリーズナブルな印象だった。

お兄さんに三十三間堂の存在と二駅先にある安いネカフェを教えてもらってお会計。

 

ちなみに結局歩いてたら見つけたカプセルホテルに泊まりました。

 

二日目

祇園清水寺三十三間堂伏見稲荷→京都駅→高台寺祇園→ホテル

カプセルホテルの宿泊は初めてだったけど特に周囲の人達と揉めることなく平和に終わる。朝風呂と朝食の合間に調べると清水寺は朝八時から拝観できるとのことだったので早めに行ってみることに。

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途中見つけた神社(名前忘れた)

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おいしいでちゅ!(版権元に喧嘩を売りながら)

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神社からバスに乗り清水坂の麓まで移動。この一人旅で3つ目の山登り(1つ目は嵐山、2つ目は金閣寺)なので朝八時からだいぶグロッキー。

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焼きドーナッツ屋の上に居た謎生物。

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15分ほど歩くと到着。

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朝もやに包まれた街が遠くまで見えて達成感に包まれてた(AM8:00)

写真はきれいだが撮影者は滝のような汗かいたただのオタク。

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『よくあるアングル』から撮った清水の舞台の写真がまたしても消失していたので下から見上げる斬新なアングルでお茶を濁す。

冗談で「清水の舞台の下には棘があって飛び降りても死なない高さだけど棘に刺さって死ぬ」というのがあるが本当に棘あってちょっとフフッって笑ってしまった。

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AM9:00ぐらい?桜の蕾が開き始めた。

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清水寺エリアから完全に離脱する辺りにはご覧のとおり。そりゃ観光客も多いわけだ。

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そして三十三間堂へ。何故か知らないけどJCの群れが若い先生(男)と仲睦まじく写真を撮っていて普通に殺意沸いた。その様子をめっちゃイケメンの外人がしれっと盗撮してて堂内にある阿吽像みたいな顔になってたと思う。

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敷地内にあった池で撮れた今回の旅1番のベストショット。傾いてなかったら100点あげたいレベル。ちなみにこのスポットは外人が撮影してたポイントそのままパクりました。

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こんな感じでくっそ広い。概要はめんどくさいからWiki見てね。

堂内の写真撮影が禁止なので庭園ばっかり撮ってた。JCは撮ってない。

ほんとだよ?

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そしてそのままバスで伏見稲荷へ。いなりこんこん恋いろはや!

丹波橋くん!(低音)

オタク丸出しで突入したのはいいけどどこにもキャラグッズなくて草生えた。

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え、これもしかして山? え? 嘘でしょ? え? 4つ目だよ?

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登りました(全ギレ)

ちょうどお昼時で外人が牛カルビ串食いながら歩いててめっちゃ邪魔。

あと自撮り棒で3回ぐらいシバかれた。

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鳥居の裏側はこんな感じ。大きさも実は細かく区分されてて近い大きさなら揃ってなくても設置するっぽい。

一応千本鳥居は歩ききったのでそのまま下山。

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あまりにも足が辛すぎて何がしたかったのかよくわからない写真。

ちなみにここから昼飯求めて結局一時間ぐらい歩く羽目に。

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ぶらぶら歩いてたら見つけた選挙アピールポスターの女の子。かわいい。

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またまた京都駅へ帰還。

どこに行くにしても京都駅に戻っておけばとりあえずは交通手段があるから、なんてIQ3ぐらいの思考回路でしか行動してない旅行だな。

このへんから生じゃないお土産を買い始める。

適当な売店のお姉さんとっ捕まえて地酒の試飲を無限に取り込みつつお土産屋の話を聞いて京都タワーへ行くことに。

京都タワーの下は売店ですよ、とお姉さんは教えてくれて行ってみることにした。

まあ確かに事実に相違はなかったのだが商品ラインナップが田舎の高速のPAレベルにショボいのはいくらなんでもひどすぎる。

あと京都って意外とアピール要素がないのかスポンジボブ新選組のハッピを着てるキーホルダーがあってお前は違うだろって普通にツッコミを入れてしまった。

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店のババアが使えないババアばっかりだったので自分でスマホで調べて高台寺近辺へ。

高台寺最寄りのバス停で降りようとしたら外人に清水寺ってどこで降りればいいの?って尋ねられたけど地元民でもないしましてや日本なんだから日本語使えって思って目の前に座ってた主婦に全投げしてバス降りた。

料金払ってたらコミュニケーション不成立で外人舌打ちしてた。

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写真の通り高台寺のお土産エリアは中々の風情で着物を着た女の子たちがいっぱい居て大変眼福でございました。舞妓さんもいたけど興味なかったから写真はなし。

ここで酒とかあぶらとり紙とか色々仕入れてさっさと離脱。

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なんかもう地名よくわかんないとこの夜桜。四条河原町とかなんかそのへん。

特にタイミング狙ったりしてたわけじゃないのに満開に巡り会えたのは割と幸運だったのかもしれないってぐらいにはきれいだった。

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少し歩いて目に入ったラムチョップのお店へ突撃。ビール(800円)に内心絶望しながらお兄さんにおすすめ頼んで持ってきてもらう。

お店のコンセプトはニュージーランドなのにオランダのビールでボる精神はよくわからん。

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広島県産牡蠣4粒(900円)と白ワイン(650円)で優雅な一人酒をまったり堪能。

と思ったら20分ぐらいするととなりに欧米的なご家族が座ったのだが無言でとにかく咳をしまくる奥方のプレッシャーに負けてタバコは封印。

普通に不快になったので最初に頼んだラムチョップ(写真撮り忘れた)だけきっちり食べて早々に退散。

さすがに歩き疲れたので酒を飲む前に予約しておいたホテルにチェックイン。

ビジネスホテルって泊まるとテンション上がるよね。

そんなこと思いながらビールとポテチ食ってそのまま爆睡。

2日目終了

 

3日目

ホテル→京都駅→帰宅

ここからは特に写真はナシ

朝飯を食いコーヒーを飲みチェックアウトすると同時に外に備え付けの灰皿でタバコを吸おう。寝起きに考えた完璧なプランを実行するため寝ぼけ眼でカーテンを開けたらとんでもない勢いの豪雨が降ってたのでカーテン閉じて現実逃避した。

チェックアウトしてホテルの軒先で雨の具合を確認しようと手を伸ばしたらタクシーが勘違いして止まったのでそのまま乗り込んで京都駅へ向かう。最高にアホらしい。

京都駅には割とスムーズに到着。

先に新幹線のチケットを確保してホーム内でお土産類の買い損ね分を買い足していたのだが財布の中身が底を尽きそうだったので会社の上司用のお土産を切り捨ててビールとサンドイッチ買って新幹線で小田原に帰ってきました。

 

行ってみての感想としては、行って大正解だったなと。

別に神社仏閣はそこまで好きなわけじゃないし「京都弁話す女の子が見たい」って理由だけで京都に決めたいくらなんでも観光地に冒涜的過ぎる脳みそで京都に踏み込んだけど文化とか習慣の違いも身を持って体感できたし初めての一人旅としては上々過ぎるレベルでの成功だったと思う。

こういう体験ってたぶん今後の人生においてほとんどできないだろうし、思い切って飛び出せる自分の行動力があってよかったなぁと。

 

だいぶ長くなってしまったけどこのへんでおしまい。

最後に一言。

小田原駅の新幹線ホーム手前にある箱根ベーカリーのかつサンドがうますぎてつらいので誰か今度食べてみて。そしておいしさ共有しよう。

京都旅行レポ~導入編~

のりさん最近なにしてんのって言われる事が多いからブログ書くことにしました。
簡単に言うと会社に診断書叩きつけてGW明けまでは暇なんだよって話ですはい。

以上、説明終わり。

ちなみにこれ書きながら四粒900円の牡蠣食べながら白ワイン飲んでますクソうまい。

まず何故京都なのかと言うとそれは数ヵ月前に遡り……


ほわんほわんほわ~ん(往年のBGM)



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(カメラロールの中に人形の画像が無かったため先輩がオナホになっていますご容赦ください。ちなみにこのオナホはオナホ妖精です)
先輩「京都っていいよな」


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(地鶏が一枚もなかったのでデフォで入ってた風景画像にしました。まるで僕の心の中みたいですね)
オレ「なんですか突然」


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先輩「いや京都弁ってよくね?京都いきたくね?」


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オレ「いや行ってみたいですけどね、なかなかね?」



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先輩「京都弁言われながらチ●コしゃぶられてみたい」


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オレ「あんたそれが言いたかっただけだろ」


~そして数ヵ月の時が流れた~


オレ「閃乱カグラ毎日15時間やってたら両手首が腱鞘炎になったしプラチナトロフィーとれないし飽きた」

オレ「飲み行くのも楽しいけどなんか楽しいことねぇかな……」

???(……く……ん……)

オレ「な、なんだ!? 頭の中に声が!?」

???「ち……ゎ……」

オレ「こ、これは神託か!? 空飛ぶスパゲッティーモンスター教がついに陽の目を見る日が」

???「ちくわ大明神」


……――――――――――


やめて! 
先輩の一言と思い付きで、無駄な余暇をもて余していた事実を突きつけられたら、有給休暇で会社からまだ給料が支給されているのりさんの残高まで燃え尽きちゃう!
お願い、死なないでのりさん!
あんたが今ここで京都に行ったら、父さんや母さんとの約束(遠回しに孫見たいって言われた)はどうなっちゃうの?
貯金はまだ残ってる。これを耐えれば、現実に勝てるんだから!

次回、「のりさん京都に立つ」。
デュエルスタンバイ!